特集 「減圧装置」

 
濃縮装置や凍結乾燥機などのラボ装置には
「減圧装置(真空ポンプ)」が必須!

 
 

減圧とは 真空とは

真空というと、「何も無い状態」を連想される方が多いと思います。平地での気圧は1013hPaですが、高い山に登るにつれ空気は薄くなり、飛行機が飛ぶような上空ではさらに希薄になります。そして宇宙ステーションが浮かぶ宇宙空間などは、まさに “真空”と呼ばれる領域になります。しかし“真空“は「何も無い状態」ではなく、単に希薄な状態を指します。

JIS(日本工業規格)では“真空“の定義が決まっており、『通常の大気圧より低い圧力の気体で満たされた空間内の状態』ということになっています。そして、この『通常の大気圧より低い圧力にすること』減圧と呼びます。

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※現在、どんな技術を使っても「まったく何も無い状態」を作ることは不可能で、人工的に作り出せる最高レベルの真空でも、1Lの容器の中に数百万個の気体分子が含まれています。また宇宙のどこへ行っても「何も無い状態」の空間は無いとされています。

真空の度合い(真空度)は、「低い・高い」あるいは「良い・悪い」という言い方をします。この特集では、以下の表現を使用します。

【圧力が低い(数値が小さい)=真空度が良い=高真空】
【圧力が高い(数値が大きい)=真空度が悪い=低真空】

 

圧力(真空度)の単位

圧力を表す“国際単位“は Pa(パスカル)です。
ほかにmmHg(ミリエッチジー)、torr(トール)、atm(アトム)、bar(バール)といった単位が使われております。

単位の換算は下記になります。

 

1Pa = 7.501×10-3mmHg = 7.501×10-3torr = 9.869×10-6atm = 1×10-5bar

以前の天気予報では低気圧や台風などの圧力単位は「mbar(ミリバール)」が使われておりました。1992年に計量法の改正が行なわれ「mbar(ミリバール)」が、「hPa(ヘクトパスカル)」に切替わりましたが、1mbar=1hPaなので、単位が変わるだけで数値は変わりません。


 

減圧装置の選定方法

選定をする際の確認事項・ポイント


【ポイント1】「オイル」と「ドライ」どちらのタイプが良いか?
 特に清浄性を気にせず、オイル交換を厭わない場合は、高真空が得やすい「オイルポンプ」
 オイルミストなどをきらい、クリーンな雰囲気での使用が必要であれば「ドライポンプ」
【ポイント2】到達圧力(真空度)はどの程度必要か?
 用途に応じて必要とする圧力(真空度)は異なります。前頁の「圧力範囲」を目安に、
 どのタイプの真空ポンプが適合するかを確認します。
【ポイント3】排気時間はどのくらいか?
 真空にしたい容器の大きさと排気時間により、必要な排気速度を計算します。
【ポイント4】どんな気体(溶媒)を吸引するか?
 ポンプの材質により、水系仕様とケミカル(耐食)仕様があります。
 吸引する気体の種類・腐食性などにより、ポンプ仕様・対応の可否を確認します。
 
そのほか、価格、設置場所、電源なども選定のポイントとなります。


 

主な減圧装置の種類と真空度範囲


 

 

主な減圧装置の構造と特徴

「送液ポンプ」には主に以下のような種類があります。

※真空度範囲は比較のため乗数(1×10○)を使わず表記


種類 構造   長所 短所 ラインアップ
油回転
真空ポンプ
ステータ、ローター、回転翼板などから構成され、油によって部品間の気密性を保つ。容積変化によって気体移送を行ない、吸い込んだ空気を次々に排気口側へ押し出す。回転伝達はモータ直結式とベルトドライブ式がある。 低真空から高真空まで作動し、小型の割に大きな排気速度が得られる。比較的安価である。
真空度(Pa)
0.1〜4,000
定期的なオイル交換が必要。排気口にオイルミストトラップが必要。大気圧近辺で連続運転すると排気口から多量のオイルミストが飛散。 GLD型シリーズ
GCD型シリーズ
TSW型シリーズLobs型
DUO型シリーズ
2015C1-N型
ダイヤフラム型
ドライ
真空ポンプ
油や水を使わないドライタイプ。偏心回転軸からの動きを受けた隔膜(ダイヤフラム)の上下動により気体を移送する。ダイヤフラムや弁の材質により、水系用とケミカル(溶媒)用がある。 オイルミストの飛散が無くクリーンな雰囲気にも適している。オイル交換などの手間がかからない。比較的安価である。
真空度(Pa)
100〜大気圧
(101,325)
隔膜の移動量に限度があり、比較的 小排気量のものが多い。高真空は困難。 NVP型シリーズ
EVP型シリーズ
MD型シリーズ
DTC型シリーズ
DTU-20型
N920・N950型
ルーツ型
ドライ
真空ポンプ
まゆ型や三つ葉型の2つのローターがかみ合うように回転して排気。多段型にして真空度を高めるのが一般的。 比較的高真空が得られる。油などの封液を使用しないので、クリーンな排気が可能。
真空度(Pa)
0.133〜1,330

溶剤等の凝縮性のあるガスを吸引し液凝縮した場合、故障することがある。 NeoDry型
シリーズ
水道直結式
アスピレーター
水道の蛇口に直接取り付け、水道水を流すと噴射口付近の圧力が下がり、吸引口から空気が吸い込まれる。
※ベルヌーイの定理「流れの早いところは 圧力(気圧)が低下」
水道があれば手軽に減圧環境が得られる。非常に安価。
真空度(Pa)
2,370(水温20℃)
以上

到達真空度は水の蒸気圧以下にならない。絶えず水道水を流し続ければならない。溶媒を吸引した場合、そのまま排水される。 AS-2型
循環式
アスピレーター
水道直結式アスピレーターを貯水タンク内に設置。タンク内の水をモータで高速循環させて減圧する。 蛇口の無い所や水道圧が低い所でも使用できる。吸引した溶媒などを垂れ流しにしない。安価である。
真空度(Pa)
2,370(水温20℃)
以上

到達真空度は水の蒸気圧以下にならない。モータ発熱などで水温が上り、真空度が悪くなる。吸引した溶媒はタンク内に溜まるため排水処理が必要。 A-1000S型
CA-1116US型

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メンテナンスのポイント

油回転ポンプは定期的にオイル交換を!

油回転ポンプ内のオイルは使用するにしたがい劣化します。混入した水分、溶媒による濃度、粘性、蒸気圧の変化や発熱による成分の変性により内部のシール性が悪くなったり、到達圧力に影響が出たりします。また、錆びやスラッジの発生により機械的な故障を起こす原因にもなります。
オイルの色や真空度の悪化などを目安に定期的なオイル交換が必要です。

推奨製品!専用架台でオイル交換の手間を解消!
油回転真空ポンプ用架台 OPM-1000型

専用架台を傾けて、重さを気にせずにオイル交換を行なえます。
キャスター付なので、研究室の隅や物陰に設置されることが多い油回転真空ポンプを持ち上げることなく移動できます。

製品詳細




油回転真空ポンプ用架台の使用方法をご紹介(2分14秒)

研究者の皆様へ有益な情報を配信する動画サービス『EYELA CHANNEL』

 


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