特集 「乾燥器」

 
 
 

乾燥器の種類と構造
乾燥器は大きく分けて次の4つの種類があります。

*定温恒温乾燥器(自然対流方式)
ヒータの熱が庫内を緩やかに対流するため、粉体や顆粒状のような飛散を嫌う試料の乾燥に適しています。

<構造例:NDO-420型・NDO-520型シリーズ>
底板下にヒータを設置。ヒータは設定温度に対して制御され発熱。底板に開いたパンチング孔より加温された空気が上昇・対流し、庫内全体を加温。 庫内上部に取り付けられた温度センサにて庫内温度を測定し温度調節器へフィードバックします。

   
*送風定温乾燥器(強制対流方式)
ファンによって庫内の空気を強制的に循環させるので、自然対流方式に比べ庫内の温度ムラが少なく、乾燥時間も短縮

<構造例:WFO-420型・520型・1020型シリーズ>
基本的な構造は定温恒温乾燥器と同様。ヒータ部にファンを設置し強制的に空気を対流。上から下方向に対流するだけでなく、背面から水平方向にも吹き出し対流するので、温度ムラが抑えられます。
   
*器具乾燥器(自然対流方式、強制対流方式)
80℃以下の比較的低温で乾燥を行う 自然対流方式やヒータを使わない除湿乾燥方式などで穏やかに器具を乾燥

<自然対流方式 構造例:AWO-1001型(器具乾燥器)
基本的な構造は定温恒温乾燥器と同様。底板に開いたパンチング孔より加温された空気が上昇・対流し、庫内全体を加温。水滴は底部にある水受バットに集まります。

<強制対流方式 構造例:LWO型シリーズ(低温器具乾燥器)
基冷凍機による除湿乾燥でヒータを使用していません。器具からの水分は背面の「凝縮器」で冷却・凝縮され、本体側面のドレンから排水。乾いた空気が庫内下部より吹き出し、器具の乾燥を促進します。熱に弱い器具や試料の乾燥が行なえます。

   
*真空乾燥器(缶体加熱方式、棚板加温方式、プレート加熱方式)
真空下もしくは不活性ガス雰囲気で乾燥 通常の乾燥器では乾燥しにくい試料や酸化を嫌う試料の乾燥に適します。

<缶体加熱方式 構造例:VOS-210C・310C・452SD・602SD型(真空定温乾燥器)
真空もしくはガス雰囲気下での乾燥。両側面の缶体内にヒータを設置。庫内内壁からの輻射および棚板からの熱伝導により試料を加温。

<棚板加温方式 構造例:PVO-450型(温風式棚加温真空定温乾燥器)
基本的な構造は定温恒温乾燥器と同様。底板に開いたパンチング孔より加温された空気が上昇・対流し、庫内全体を加温。水滴は底部にある水受バットに集まります。

<プレート加熱方式 構造例:VOM-1000A・B型(真空検体乾燥器)
真空もしくはガス雰囲気下での乾燥。微量試料用でホットプレートで加温。チャンバーはガラス製のため、試料の観察が容易。
 

主な用途
  内容 使用温度 使用乾燥器
試料乾燥 穀物、野菜、食品などの水分除去・乾燥 木材、鉱物、土壌などの乾燥 35〜200℃ 定温恒温乾燥器、送風定温乾燥器、
真空定温乾燥器、低温器具乾燥器
器具乾燥(中〜高温) ガラス器具、ピンセット等の金属製器具などの乾燥 50〜105℃ 器具乾燥器、定温恒温乾燥器、
送風定温乾燥器
器具乾燥(低温) 目盛り付きガラス器具、測定用器具、樹脂製器具など熱に弱い器具類の乾燥 25〜35℃ 低温器具乾燥器
恒温・耐熱試験 材料、部品、成形品などの恒温試験耐熱材料の温度試験 30〜500℃ 定温恒温乾燥器、送風定温乾燥器、
真空定温乾燥器、
水分測定 含水率、水分量測定のための水分除去 100〜150℃ 定温恒温乾燥器
検査の前処理 食品衛生検査の前処理・水分除去 70〜105℃ 定温恒温乾燥器
脱気・脱泡 真空下での溶存ガスの除去・脱泡マイクロバブルの除去、酸素の除去 40〜200℃ 真空定温乾燥器
溶媒除去 溶剤、酸、アルカリ等の除去 40〜200℃ 真空定温乾燥器
熱硬化・成形 樹脂成型、アニール処理、接着剤の熱硬化、真空熱処理 70〜180℃ 定温恒温乾燥器、送風定温乾燥器、
真空定温乾燥器
塗装・メッキ 塗膜の乾燥・焼付け、ベーキング処理 40〜220℃ 定温恒温乾燥器、送風定温乾燥器


各種安全機能
高温での使用が多いことから、各種安全機能を搭載しています。

○ドア開放アラーム
ドア開放時や半ドアの際にアラーム表示、制御停止しヒータOFF、送風ファンOFF。(NDO型、WFO型シリーズでは1分間ドアが開いた状態が続くとブザー音)開け放しの場合、ヒータの連続的加熱によって起こる試料の異常過熱を防ぎます。WFO型では熱風が吹き出さないようファンが停止します。

○センサ不良・ヒータ断線アラーム
温度センサの断線や短絡、ヒータの断線が発生した場合にアラーム表示。

○温度上下限アラーム
設定した上限・下限の温度を超えた場合にアラーム表示。機種により二段階に設定できるタイプ有り。アラームの種類により制御続行と制御停止の2通りがあります。

○可変式独立過昇防止器
庫内温度が「過昇防止器」の設定温度以上に上昇すると強制的に電源を遮断。過昇防止器の設定は変更可能で、庫内の設定温度より20〜30℃以上高い温度に設定します。

○漏電・過電流ブレーカ
装置が漏電または回路に過電流が流れた場合にブレーカOFFになり電源を遮断

 

 

▼温度分布精度

乾燥器は庫内の温度ムラが無い方がより均一な温度管理が可能となります。
この温度ムラを「温度分布精度」と言います。

温度分布精度
当社では2013年以降、「温度分布」データは新しい表記 方法で記載しています。
※JTM K07(2007)温度分布・温度試験槽・性能試験方法および 性能表示方法に準拠

1.温度センサを庫内の定められた9点に設置
2.庫内温度安定後、温度データを収集
3.収集されたデータを新しい表記方法(JTM K07(2007))に 従って記載。


温度センサは庫内の各壁より10分の1にあたる位置と中心の計9点に設置


空間温度偏差:「庫内中央の平均値」と他の8点のうち 「最も温度差がある点の平均値」との差
温度勾配  : 9点の中での「平均温度の最大値」と 「平均温度の最小値」の差
※例えばNDO-420型では、空間温度偏差は11℃、温度勾配は16℃と表記されています。


上記の場合、設定100℃に対し、庫内中央が101℃、最大の点が108℃、最小の点が96℃。
したがって空間温度偏差は7℃、温度勾配は12℃となります。(いずれも各点の平均値を使用)


▼作業性を高める便利な機能

●タイマ・プログラム機能
乾燥器には一定温度で制御する「定値運転」のほかに、タイマ機能やプログラム機能が搭載されています。
スタンダードタイプのNDO-420型・520型シリーズ、WFO-420型・520型・1020型シリーズのタイマ・プログラム機能は下記のようになります。

●温度補正(センサ補正)機能
試料を置く位置の実際の温度に温度調節器の表示を合せ込む機能です。より試料に近いところで確実な温度調節が可能です。
標準温度計などで実測した温度と操作パネル上の表示温度の差異を補正値として入力します。

●オートチューニング機能
温度はPID制御によりコントロールされています。温度制御を行うPID定数は工場出荷時に設定されていますが、使用温度帯や負荷、
室温などの条件によって、最適な組み合わせが異なってくる場合があります。最適なPID定数を実際の制御をしている温度波形より導き出す機能が
オートチューニングです。通常は工場出荷時のPID定数で問題ありませんが、制御に乱れが出る場合はオートチューニングを実施します。

●通信機能・記録計出力機能
外部からの遠隔操作や庫内温度をパソコンに表示、記録することが可能なRS232Cインターフェース付き、データをUSBメモリに出力する接続端子付き、
記録計への出力端子付きが対応可能な機種もあります(いずれも工場オプション仕様)。
・RS232通信対応 :NDO・WFO-SD型、VOS-SD型
・USB接続端子対応:PVO-450型
・記録計出力端子対応:PVO-450型、VOS-SD型
※新モデルVOS-452SD・602SD型はUSB通信端子、温度圧力出力端子が標準装備

●グラフィック機能
タイマやプログラムの設定画面がグラフィック表示となり、より視覚的に確認・設定操作ができます。
(NDO-420型・520型シリーズ、WFO-420型・520型・1020型シリーズ)

▼棚板の種類・オプション

■棚板の種類
乾燥器用の棚板には主に2種類のタイプがあります。

(1)パンチングメタルタイプ

SUS板に丸いパンチング孔を多数開けたタイプ。試験管立てなど足が細いものや細長い容器を入れる際に便利です。
ワイヤータイプと比較すると気流の流れが若干妨げられる傾向があります。
→NDO-420型・520型シリーズ、WFO-420型・520型・1020型シリーズ

(2)ワイヤータイプ

SUS製の鋼線(ワイヤー)を縦横に組んで溶接したタイプ。空気の流れに対する抵抗が少なく、温度ムラ軽減に有利。
細長い器具や足が細い試験管立てなどは不安定になりやすい。
→NDO-SD型シリーズ、WFO-SD型シリーズ、WFO-1202W型、AWO-1001型

 

■オプション品
●架台
HSS型

●積重ね架台
HSD型(NDO・WFO型用)
乾燥器を2台重ねて使用可能。下部の熱を逃がす冷却ファン付き。

●棚板・棚支え
棚板HST型、棚支えHSH型

●排気ユニット
EU-300型(NDO・WFO-420(W)・520(W)型用)
乾燥器の天板にセットし、排気口より漏れるガスを集め
排気ファンによりアルミダクトでドラフトチャンバーなどに排気。

●真空ポンプ
真空乾燥器の減圧に使用

●冷却トラップ装置
UT型シリーズ、ECC型
真空乾燥器と真空ポンプの間に設置し水分・溶媒を冷却して捕集

 

 
■ 製品ラインアップ

定温恒温乾燥器 定温恒温乾燥器 定温恒温乾燥器 定温恒温乾燥器
NDO-420・420W・520・520W NDO-451SD・601SD WFO-420・420W・520・520W
・1020・1020W
WFO-1202W

 

器具乾燥器 低温器具乾燥器 真空定温乾燥器 真空定温乾燥器 温風式 棚加温真空定温乾燥器 真空検体乾燥器
AWO-1001 LWO-600・1000 VOS-210C・310C VOS-452SD・602SD PVO-450 VOM-1000A・1000B
 
 
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